GR III (GR3) を1年使ってみた感想とメーカーへの要望

こんにちは、ののゆー (@jp7wfp) です。

GR III を購入 (2019年6月) してから、このカメラをほぼ毎日持ち歩いて、写真をたくさん撮ってきました。買ってから1年ちょっと経過したので、メーカーへの要望も兼ねてレビュー記事を書き連ねていきたいと思います。

記事の最後の方に、このカメラを買うことを検討している人に向けた記事も書かれているので、未購入の人にもこの記事は参考になると思います。

 

作例

私がTwitterに上げている写真のほとんどはGR III で撮ったものです。Flickrにもたくさん写真を上げているので、ぜひご覧になってください

28mm/ 絞り優先AE(F5.6, 1/400s, +1.0EV)/ISO 200, WB: マルチパターンオート

再開発によりそう遠くない将来に解体される予定の札幌エスタ。その屋上には美しい憩いの空間があります。

28mm/ プログラムAE(F2.8, 1/30s, +0.7EV)/ISO 800, WB: CTE

美しきブルーアワー。Pentaxのカメラにも付いている独自のホワイトバランスモードであるCTE (逆補正) で撮影。一癖あるがうまく使うとこのように美しい青を表現することができる。

28mm/ プログラムAE(F5.6, 1/2000s, +0.7EV)/ISO 1600, WB: CTE

これもCTE。やはり空の青が美しい。

28mm/ マニュアル露出(F2.8, 15s)/ISO 1600, WB: 色温度4000K

ネオワイズ彗星 (C/2020 F3) もこの通り

28mm/ マニュアル露出(F2.8, 15s)/ISO 3200, WB: 色温度4000K/1時間30分インターバル合成

星の軌跡写真。インターバル合成機能を使うと、後からPC合成することなく軌跡写真を作成することができる。星の色がよく写り込んでいるのが特徴的。

以前使ってたコンデジについて

私は、このカメラを買う以前Panasonicの Lumix TX1 というコンデジを使っていました。GR III より一回り大きいくらいの大きさで、1インチセンサーを持っていながら10倍ズームが付いているカメラなのですが、使っていくうちに様々な不満点が出てきて現在は手放しています。

以下、「前のカメラ」って言った場合は Lumix TX1 を指すものとします。

良い点

優れたデザイン

まず、カメラボディ自体のデザインが非常に優れています。

公式ムック『RICOH GR III PERFECT GUIDE』には、「GRというのは職人の道具に似ていて、無駄がなく、形に必然性があるから長い時間がたっても姿が変わらず。直線の1本まですべて説明できる存在理由があるのだ」とあります。

このカメラを横から見ると、前面側と天面がすこし樽型に膨れているのがわかります。これは、窮屈さを感じさせずにグリップ性を向上させるためだといいます。

また、シャッターボタンを押し込むときに芯の部分に力が入り込むよう、シャッターボタンが天面の、前に傾斜しているところに配置されています。

ボタンレイアウトも、片手でほとんどの操作できるように設計されています。タッチパネルでできることはすべてダイヤルボタンでも操作できるように設計されてあります。モードダイヤルも、MとU3の間にブランクを設けることによって角度を認識できるようになっています。

外観も、塗装にはとくにこだわったといいます。各所の文字の大きさ・色も視認性を高めながら目立たないように美しくなるようデザインされています。GR III で色があるのは、電源を入れたときのシャッターボタンの周りの緑の明かりだけ。

ここまできめ細やかにユーザー本位に使いやすく設計されているコンデジは他を探してもほとんどないんじゃないでしょうか? (他のコンデジのユーザーさんごめんなさい) これが GR III のものすごく大きな魅力です。

高画質

新開発の単焦点レンズ (28mm相当) とAPS-Cセンサーの組み合わせで、このクラスのコンデジでは最高レベルの画質の写真を撮ることができます。

また、アクセラレーターユニットのおかげか、APS-Cセンサーでありながらノイズの少ない写真が撮れます。暗いところでの撮影で効力を発揮する手ブレ補正機能も付いてます。

センサーを振動させて擬似的にローパスフィルターの効果を得る「ローパスセレクター」も搭載されました。星を撮るときにローパスセレクターを強に設定すると、きれいに星の色が写真にのってくれるので、星景写真を撮るときにすごく役立っています。

高機動力

一眼レフやミラーレス一眼などのレンズ交換式カメラは、たとえ軽め・小さめのものを選んだとしても (ボディとレンズ合わせると) それなりの大きさや重さになります。私は写真撮影を目的とする旅行以外の旅行にレンズ交換式カメラを持って行きたくはありません。

その点このカメラは、上に書かれた画質性能を備えておきながら、タバコの箱より1回り大きいくらいのサイズ感と、レンズ込み257gの軽さのおかげで、いつでもどこにでも持ち運びたくなります。自分は普段、腰に下げた汎用品のカメラポーチにこのカメラを突っ込んで持ち運んでいます。

電源を投入してから0.8秒で撮影可能になるのも魅力です。また、レンズキャップの付け外しも不要です。これくらい短いと、「撮りたい」と思ったときにすぐに撮影に入ることができるので、カメラを自分の体の一部であるかのように使うことができます。

また、撮影後電源ボタンを押してすぐにレンズの収納が行われることも魅力です。 当たり前のように思われるかもしれませんが、世の中には書き込み動作が終了した後にレンズを収納するカメラが存在します (前のカメラもそう)。そういうおかしな設計がなされていないことも、このカメラの魅力です。

スナップモード (特定の撮影距離に固定する機能) の存在も魅力です。ボタン1つでスナップモードに入るよう設定することができるので、AFを使いたくないときやAFで撮影するのに向いていない写真を撮りたいときに大いに役立っています。

ユーザービリティ (堅牢性等)

このカメラを初めて箱から取り出して手にしたときにまず驚いたのが重厚感でした。マグネシウム合金製のボディのおかげで、多少強く握ってもボディが歪むことはありません。高い剛性感は安心感をもたらします(前のカメラは少し強く握ると歪んだ)。

ホコリ除去機能のおかげで、旧機種で問題になっていたホコリ問題を気にする必要性が低くなりました。

また、動作対象外の0℃以下でも問題なく使用できたのは良かったです (前のカメラは氷点下で突然動作不能に陥った)

便利なオプション品

バッテリー充電器 [BJ-11]

旧機種用ではコンセントに直接接続するタイプだったのに対し、今機種用ではUSB電源を利用するタイプとなっています (端子はType-C) 。モバイルバッテリーでカメラのバッテリーを直接充電できるので使い勝手が良いです。安物の中華製充電器と違って充電器側にも温度端子が付いているので安心して充電することができます。

ソフトケース [GC-9]

GRの使い勝手を最大限高めるための純正ケース
なのですが、後述の理由から現在は使っていません。

レンズアダプター [GA-1] (未購入)

これを付けると49mmの円形フィルターが使用可能になるのでいろいろ便利そう。後述のワイコンを使うにはこれを使わなければならない。

ワイドコンバージョンレンズ [GW-4] (未購入)

これを使うと GR III で21mm相当の画角で撮影することができるようになる。レンズ交換式カメラを持ち運ぶよりも荷物が軽くなるので旅行等で役立ちそう。非公式だが72mmのフィルターを付けられる。

外部ミニファインダー [GV-2] (未購入)

28mm相当の画角を確認するための、アクセサリーシューに付けて使うガラスの塊。GR DIGITAL II (2007年) の頃から売られているロングセラー品。

改良してほしい点

リアホイールのガタ

ガタツキが大きく、回しているとたまに逆方向に回転させたものと誤認識することがあります。これは実際に使ってて気になることがある (シャッター速度Tで露光時間を設定するときや、MFでピントを合わせるとき等) ので、少なくとも後継機では改善して欲しいです。

リングキャップの脱落

リングキャップがゆるく脱落しやすいです。過去に2度紛失してしまい、2度買い直しています。

シームグリップっていうやつをリングに付けて使うとより脱落しにくくすることができます。これをリングに付けて以降は一度も脱落したことがありませんが、正直出荷時点より脱落しにくい、もっとキツめの設計にして欲しかったです。

バッテリーの形状

バッテリーの形状が線対称かつ点対称であるため、バッテリーの端子を入れる方向を間違えることがたまにあります。明るいところではあまり問題にならないのですが、暗いところだと少し気になります。

純正ケースの強度

非常に使い勝手はいいのですが、ベルト通しの部分の縫いが明らかに甘いです。半年ほど使ってましたが、今にも外れそうな状態になってしまったので現在は使ってません。

ADJモードで変更できる設定の増設

現状、ADJモードに登録できる設定は限定されています。 例えば、露出モード切替や、手ブレ補正・ローパスセレクター・NDフィルター等の有効無効の切り替えはADJモードからだと変更することができません。

アップデートに期待したいです。

P/Av/Tv/Mダイヤルのお気に入りの設定をバックアップし、必要に応じて復元する機能の増設

現在、このカメラにはP/Av/Tv/Mダイヤルの設定をユーザー設定に登録する機能はあるのですが、逆にユーザー設定に登録した設定をP/Av/Tv/Mダイヤルに反映させることができません。

また、お気に入りの設定をバックアップして復元する機能もありません。

つまり、P/Av/Tv/Mダイヤルの設定を変更した後設定をお気に入りの設定に戻したいときは、ひとつひとつの設定をいじって元に戻さなければいけなくなり面倒です。

これもアップデートに期待したいです

動画ボタン以外での動画・静止画切り替え機能

現在私は手ブレ補正の有効無効切り替えを動画ボタンに割り当てているのですが、実は動画ボタン以外では動画・静止画を切り替えることができないのです。 動画ボタンに他の人を割り当てている人向けにこの機能の増設は期待したいです

これもアップデートに期待

このカメラの購入を検討している人へ

すべての人にとってパーフェクトといえるカメラはこの世の中には存在しません。

これだけ優れているGR IIIにもいくつかの欠点が存在します。GRシリーズを買う際はこれらの欠点を理解した上で購入すれば、後悔することが少なくなると言い切れます。

レンズ交換はできない

コンデジなのでレンズ交換は不可。

ズームはできない

単焦点レンズは、明るくて小型なレンズを設計できる反面、画角をズームによって変えることができません。画角を変更するクロップ機能は付いていますが50mm相当までしか設定できません。多少画質を犠牲してでも圧縮効果を活かした写真を撮りたい人は他社製の1インチズーム機を買ったほうが幸せになれると思います。

動画向きではない

全群繰り出し方式のAFは高画質ですが動作音が大きいという欠点があります。動画撮影機能は付いていはいますがPモードでしか撮れません。

多機能なファインダーは付けられない

カメラ本体にファインダーは付いていません。また、外付けEVFには対応していません。オプション品にファインダーがありますがもっぱら画角調整用で情報表示機能はありません。

防滴仕様ではない

小さいサイズを保つために防滴には非対応です。高画質で防滴対応のコンデジが使いたければ富士フイルムもX100Vを買うと幸せになれると思います。

最後に

言いたいことはだいたい言った気がするので最後に一言

GR III はいいぞ。

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